開店休業

がんばっていきまっしょい。

脚本「おばあちゃんのプレゼント」

初期?に書いたんですが、これを書けた事はけっこう自信になりました。
感動しました、とのお言葉を頂きました。

 

あと引き続きカクヨムに小説をアップしております。
現在は処女作にしてどこぞの奨励賞相当受賞作をアップしております。
よろしければぜひ。(雨が降ってる。というやつです。)

 

小説(あしなむ) - カクヨム

 

 

【題材】 一年間

 タイトル:「おばあちゃんのプレゼント

 

(人物)

関学(9) 小学三年生
関靖(45) 会社員
関香奈(39) 主婦 
関文子(81) 靖の母
近藤美姫(9) 小学三年生
鈴木達也(9) 小学三年生
斉藤哲(8) 小学三年生

 

 

〇関文子宅・縁側
   蝉がかしましく鳴いている。
   縁側に座り庭を眺めている関学(9)と居間でスイカを食べている関香奈(39)と関靖(45)。
香奈「学、スイカ食べなさいよ」
学「…………」
香奈「せっかくお婆ちゃんが買ってきてくれたんでしょ、あんたが食べたいって言い出したんだからね!」
学「…………」
香奈「学! 返事くらいしなさい!」
学「……いらない」
関「お前いい加減ふて腐れるのやめろよ」
学「いらない、食べたくない!」
関「お前なぁ……」
学「ねえねえ買ってよぉ! なんで買ってくれないの? 皆持ってるんだよ、僕だけ持ってないなんておかしいじゃん!」
香奈「おかしくないでしょ。それに欲しければ自分で買いなさいよ」
学「だってぇ、お小遣い使っちゃったし……」
香奈「なら誕生日まで待てばいいでしょ」
学「誕生日は冬でしょ! 今は夏だよ夏!」
香奈「知らないわよそんなの……」
関「学、お前気持ちはわかるけどもうちょっと成長しろよ。我慢しろ我慢」
学「ううううううっ!」
香奈「ほら、スイカ」
学「いらないっ!」
   そっぽを向く学、関文子(80)が居間に入ってくる。
文子「スイカ、おいしいべ」
香奈「あ、お母さん……。それがこの子ちょっとふて腐れちゃってて……」
文子「え?」
香奈「すみません折角用意して下さったのに」
文子「さっきのゲームのことかい?」
香奈「はい、デパートで見てからこうで」
関「いいんだよ母ちゃん、放っとけば」
文子「学、そんなにそのゲーム欲しいんけ」
学「…………」
文子「学」
香奈「ほら返事くらいしなさい!」
   文子は笑みを浮かべ、バッグから小包を取り出す。
文子「ほら、おばあちゃんからプレゼント」
学「…………」
香奈「あ、お母さん……」
文子「いいからいいから、年金入ったから」
学「あっ、あっ、あっ…………」
   身を乗り出して受け取る学、頷く文子。
学「ありがとうおばあちゃん!」
関「ほんと甘いな母ちゃんは」
   学は嬉々として包装を破いていく。
文子「いいんだよ、かわいい孫の笑顔が見たいんだから」
学「あっ!」
   三人は振り向く。
学「これ違う!」
文子「え?」
学「これ違うよ、僕が欲しかったのこれじゃない! これ前作だもん、違うよ!」
文子「え、だってさっきこれ欲しいって」
学「違うよ、これの最新作、これじゃないの! こんなのもう誰もやってないよ!」
文子「あ、そうなの……。ごめんね、お婆ちゃん間違えちゃってたんだね…………」
関「母ちゃん、レシートある?」
文子「捨てちゃったけど、大丈夫かねぇ……」
関「まあとりあえず行って……あ、バカ学っ」
   学は包装ビニールを破き説明書を取りだしていた。
学「ほらぁ、見てここ! 三年前!」
関「開けるなよおい~」
学「え?」
関「もう返品できないだろ……」
学「え、ええっ?!」
関「お前が悪いんだからな、諦めろ」
学「ええっ、なんだよそれ、なんだよぉっ!」
香奈「なんだよじゃないでしょ、せっかく買ってきてもらったのにその態度はなに?」
学「だってこんなのいらないもん!」
   ゲームを壁に投げつける学、ケースが割れてディスクが飛び出る。
文子「あっ……」
香奈「こらなにやってんの!」
関「おい学! お婆ちゃんに謝れ!」
学「やだ、知らない!」
   駆けていく学、二階に上がる音。
香奈「もうあの子は!」
   香奈がケースとディスクを拾う。
香奈「ごめんなさい、叱っておきますから」
文子「いや、いいけども、それより新しいの買ってやった方が……」
関「いいんだよ放っておけば。もうちょっとは我慢も覚えないといけないんだよ」
香奈「はい、本当にお気持ちで十分ですから」
文子「そうかい? そう、そう…………」
   文子は大きく息を吐き、悲しげに床の上の包装紙を見る。

 

〇関家・リビング(夜)
   香奈が電話をしている横で学がゲームをしている。
香奈「はい、はい……あ、学ですか? はい、今ゲームしてますけど……あ、ちょっと待って下さいね。学、お婆ちゃんが学と話したいって。学」
学「…………」
香奈「学っ」
学「今忙しいの!」
香奈「忙しくないでしょ、いいから出なさい!」
文子の声「あ、香奈さんいいから、いいから、聞こえたから、聞こえたから…………」

 
〇関文子宅・居間(夜)
   背中を丸めて受話器を握っている文子。
   窓向こうの庭では落ち葉が舞っている。

 

〇小学校・三年二組教室
   鈴木達也(9)と斉藤哲(8)が話込んでいる、生徒達は冬服で、哲はマフラーを巻いている。
   学が教室に入ってきて二人に気が付く。
学「あっ!」
   笑顔で二人の下へと駆ける。
鈴木「どうしたんだよニヤけて」
学「遂に買って貰ったんだ、ほら!」
   ランドセルを開けゲーム『アイアンナイト3』を取り出す。
学「昨日誕生日でね、やっと買って貰えたの、やっとだよやっと、これで皆と遊べるよ!」
鈴木「あー、アイアン3かぁ……」
   鈴木は斉藤をチラと見る。
斉藤「アイアン3はなぁ、もうなぁ」
学「え?」
鈴木「ほら、もうモンスター集めコンプしちゃったしさ、やる事ないんだよね。それにほら、これ買って貰って」
   机の中から『キングアニマル7』を出す。
学「あ、キングアニマル7」 
鈴木「そ、俺も哲も買って貰ってさ、これめっちゃおもろいから! 学も買って貰えよ」
学「え、ええ……でもこれ買って貰ったから」
鈴木「あー、そっか、そりゃ残念だなぁ……」
   山根武(8)が通りかかる。
鈴木「あ、武、アニマル7どこまでいった?」
   二人は山根の元へと行く。
学「…………」
   アイアン3を手に呆然と見送る学。
美姫の声「あ、アイアン3だ」
   学、振り返ると近藤美姫(9)がいる。
美姫「いいなぁ、私も欲しいんだけど今2をやってるんだよね。3は当分買えないなぁ」
学「え、2? 2をやってるの?」
美姫「うん、お兄ちゃんのなんだけどやってみたら面白くって。でも昔のでしょ、誰ともモンスターの交換できないんだぁ」
学「あっ、あっ、あっ」
美姫「ん?」
学「僕持ってる、持ってるよ2、持ってる!」
美姫「へー、2も持ってるの? けっこうやった? ならさ、モンスターくれないかな」
学「あっ、あっ、あっ、これからやるんだよ」
美姫「え、これから? その3は?」
学「いいんだよまずは2からだよ!」
美姫「まあそれはそうかもだけど……。へー、そっか、今からやるんだ……あ、ならさ、一緒にやろ? 私もまだ序盤だし、モンスター交換しあおうよ、ね? どうかな?」
学「あっ、あっ、うんっ、うんっ!」
   手を振って教室から出て行く美姫。
学「う、うへ、うへへへへ…………」
   いやらしい笑みを浮かべる学。

 

 

〇公園
   携帯ゲーム機を手にベンチに座っている学と美姫、公園は桜が満開。
   学は満面の笑みを浮かべている。 

 

〇関家・リビング(夕方)
   学が携帯ゲームを片手に入ってくる。
学「ただいまー! あっついよ外、汗だく!」 
香奈「おかえり。あのね、さっきね、電話があって、お婆ちゃんが」
学「あ、おばあちゃん? ああ、じゃあまた電話しよ! また今年も行くよって伝えたいし、そういえばありがとうも言ってなかったし!」
香奈「え、何の事? あのね、さっき電話があってね、お婆ちゃん亡くなったって」
学「……え」

 

〇文子宅、居間
   蝉の鳴声、学が仏壇の前に立っており、脇に骨壺、前に遺影が置かれている。
   鈴を鳴らし、手を合わせる。
   顔を上げ、遺影を見る。
   柔和な笑みを浮かべている文子の写真。
   口をへの字に曲げ、泣きそうに俯く学。