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趣味の徒然うつらつら(2016年他ブログより移転)

双子萌えについて。(双恋から考える)

 僕にとって双子萌えとは差異萌えなのであります。大きな差異ではなく、ものすごく小さな差異だからこそ萌えるのであります。二人がほとんど変わらないからこそ、妄想もとい空想を抱かされるのであります。つまるところ、双子萌えとは「妄想萌え」なのであります。
 皆さん、妄想しませんか?

 かつて双恋というコンテンツがありました。
 この双恋、タイトルまんま「双子萌え」を提唱し、おたく界に新風を巻き起こそうと大いにメディアミックスを展開しておりました。ですが結果は超微妙。成功とは言えないけれども失敗とも言い辛い。「それなり?」くらいな感じで収束してしまいました。いや、やはりあれだけ大々的に売り出してたんだから失敗寄りなのかな。
 ともかく双子萌えは根付かずに終焉を迎えました。
 その無謀とも言える試みは結局試みで終わり、ニッチのまま今日まで至ります。もうこの先、再び陽の目を見る事はないでしょう。
 南無。合掌。

 それにしても、なぜ双恋は微妙のまま終わってしまったのでしょうか?
 メディアワークスの力を持ってしても、ヒットをさせる事ができなかった。
 声優陣は豪華だったのにもかかわらず。
 なぜ?
 
 アニメが駄作認定されてしまったから?
 キャラデザのささきむつみが落ち目だったから? 
 シスタープリンセスの後継としては破壊力に欠けたから?
 そもそも狙いすぎだったから(笑)?

 どれも一つの要因にはなるのでしょう。
 ですが一番の要因は上記のどれでもありません。実は「失敗の原因は?」と尋ねれば、誰もが口をそろえて言う一つの理由があるのです。
 それは
 双子だからって二人とも同じすぎた。もっと違う性格とか容姿にすべきだった。
 というものです。
 つまり「双子である意味がなかった」という事を暗に語っているわけです。

 実際、唯一双子なのに容姿も性格も異なる白鐘姉妹が一番人気で、アニメ2作目ではこの二人を主人公に据えたりしています。(しかもまるで原作改変してこの二人の為のアニメみたくなってた)
とりあえずこの作品を知らない方はここで軽くキャラ設定をご確認下さい→双恋 キャラクター紹介

 この白鐘姉妹、正反対の性格をしておりまして、病弱とそれを守る強気っ娘というように、「陰」と「陽」的に巧い具合にお互いを補完し合う、絆を感じさせる双子です。
 双子ともなれば自分の分身みたいなもの。その絆は計り知れず、二人は一人で生きている。確かにそれは美しく、とても健気で魅力的です。

 要するにこの姉妹が支持されたという事は、多くのユーザーがこんな感じの「異なる娘同士」で双子を作って欲しかったという事です。白銀姉妹のように、もっと性格の異なる双子で構成すべきだったという感想をたくさん目にしました。

 しっかーし!!
 しかしです。それでは双子萌えの意味が半減するではあーりませんか。
 異なる性格の双子は、「異なる性格の普通の姉妹」に変換可能です。普通の姉妹で性格が正反対とあまり変わりません。
 それではせっかくの「双子」なのに、その意味が半減してしまいます。
 確かに普通の姉妹より双子の方が結びつきが強く感じられ、より萌えられるというのはわからなくもないですが、でもやっぱりそれだけになってしまうじゃあないですか。

 いいですか?
 双子萌えの本質とは「二人が似通っていてほとんど差異がない」というところにこそあるのです。(超絶理論キタコレ)
 
 二人は顔も性格もスタイルも髪型も好きな人も喋る内容も果ては声までも似ているという、「あれ? クローン?」ばりの同一人物ぶり。
 けれどよく見ればそこには確かに差異がある。
 感じてしまう。
 彼女達の心情を考えてしまう。
 双子という存在の、その微妙な関係を想像してしまう。
 双子の中での「彼女」、を想像してしまう。
 そして僕は彼女を補完する。
 彼女という存在は僕だけのものになる。 
 これが双子萌えという境地なのです。
 
 二人が100%同じという事はあるはずもなく、小さな違いは必ずあります。
 例えばこれは実際に双恋に触れていただければわかると思いますが、どの姉妹からも、どちらかが前に出てどちらかが後ろに退いてというように、微妙な立ち位置が感じれられます。 
 つまり、片方はフロント的に存在し、もう片方は少し影に隠れた「セカンド」的に見えてしまうのです。それは自分でセカンドになろうとしてそのポジションに収まっているのならいいのですが、どの娘を収まらざる終えなかったというように、仕方なく収まっているように見えました。

 言ってしまえば僕にとっての双子萌えとは「セカンド萌え」です。
 セカンドの、ファーストの影に隠れてしまっている不憫さ、けれどもどうしようもないというその宿命を想像し、僕は彼女にものすごく移入します。想像する事で移入します。その環境に同情すらし、彼女が愛しくなります。

 実際、僕は一条姉妹という、二人とも同じように見える双子のセカンド、「菫子」に幻惑され、萌え狂って死にそうになりました。
 ほとんど変わらないファーストの薫子のほうにはさほど萌えなかったのに、です。

 それはやはり菫子のほうが薫子よりも「立ち位置が後ろ」に見えたからです。影の存在に見えたからです。

 一条姉妹のどちらが姉でどちらが妹というのは公表されていないのですが、一条姉妹といったら「薫子」のように作品内でも描かれているな、と見えました。作品内で、多くの人は一条姉妹=薫子の認識であり、菫子はセカンド。なんと辛く苦しい状況でしょうか。菫子は顔には出さずとも絶対に心を痛めてるはずなのです。いつもいつも比べられて、でも大事な姉妹を憎む事なんてできなくて、その悲しみを胸に押し込めているはずなのです。
 もうそうなると菫子がかわいそうで不憫にすら思えてきます。

 言うなれば憐憫です。同情です。
 「俺だけは薫子じゃなくて、君が好きなんだ!!」みたいな感じです。
 菫子の行動言動その全ての裏に「憂い」を読み取ってしまい、菫子を苦しみから救済してあげたくなります。

 言うまでもなく全て妄想です。自分の妄想に萌えているわけです。
 そうなのです。
 これが双子萌えという境地なのです。
 わかりましたか?

 ほとんど変わらない双子間から醸し出される、微細な、本当に微細な差異は、僕達の妄想を刺激します。僕らはその双子という特殊な関係性の中に、ある種の「物語」を産み出し、それを育み、勝手にキャラの設定に植え付けます。やがてキャラのバックボーンとしてその妄想は機能するようになり、そうなればもはや僕達はそのキャラの虜。
 「双子は同じに見えて、でも絶対的に違う」という逞しい妄想が、彼女を輝かせます。
 
 つまり、双子萌えの本質とは「妄想させる差異」にこそあり、それは双子という「特殊な関係性」が孕んでいる、一種の幻想なのです。
  
 「双子」という設定には強力な幻想が付きまといます。普通の姉妹とは違い、僕らにそこから何かしらの物語を否応なく想像せしめます。
 
 これが大きく異なる性質同士の双子であるならば、幻想は羽ばたきません。なぜならもうその「物語」は目に見える形で設定として具現化されており、幻想を行える隙間があまりないからです。白鐘姉妹で言えば、彼女達は補完しあう関係であるが故に「二人で一人」なわけで、もはや完結しており僕らが入り込む隙間がありません。その絆は目に見える形で存在するので絶対のものとして見受けられます。
 これが一条姉妹であれば、「……もしかしてペルソナ被ってる?」みたく、同じであり決定的には異ならない為に、「ライバル」になり得ると見受けられ、そこに裏の気持ちを読み取る事も可能となり、妄想逞しく幻想を羽ばたかせる事ができます。

 妄想するから萌えるわけです。
 その僅かな差異、それが僕らに妄想の原料を提供します。
 僕はセカンド萌えですが、もちろんファースト萌えだったり、二人共、つまりダブル萌えでもいいわけです。 
 要するに、この差異を感じ取り妄想し、物語を勝手に補完してしまうという行為を経てキャラに萌えるという、これこそが「双子萌えという境地」なのです。 自分で自分の妄想に萌えている。
 これぞ境地。

 確かに一般的な萌えからするとわかりにくいのかもしれません。
 ですが、脇役好きとか、想いを秘めてる幼なじみ好きとかの方にはなかなかの属性かと思います。
 そんな嗜好で、かつ今まで未体験だった方は、一度体験してみてもいいかもしれないですよ。

 最後に。
 これを妄言と一笑に付されてしまう事を避ける為、実際にそのように作られていたという証左的なシーンを挙げさせていただきます。
 アニメ版なのですが、僕の嫁、セカンド菫子が「皆は私達の事を呼ぶ時「薫子ちゃん菫子ちゃん」って薫子を先に呼ぶじゃない!!」って感じで叫んでるシーンがありますた。
 菫子はやはり劣等感を持っていたわけです。おおう、双子の王道的葛藤。よいではないですか。
 だから僕の言っている事も、制作者側も少しは狙っていたと思うのです。そんなに深く考えてはいなくとも。
 
 いやぁよ、アニメでも主人公との恋愛話、菫子を噛ませ犬的にして最終的には薫子主役みたいな作りになっててよ、それ見ててオレァ菫子がかわいそうで堪らなかったわけよ。(最終的にはどちらともくっつかなかったけどよ)
 主人公から見ても、菫子はセカンドとくらぁ。なんというやるせなさよ。
 おい。菫子、がんばれ。
 負けるな、菫子。
 応援したくなるじゃあねえか。
 こら、そこの色坊主!
 菫子は噛ませ犬なんかじゃあねえんだよ!
    ↑
 これが双子萌えです。