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がんばっていきまっしょい。

メモリーズオフシリーズについて

1stを語る為に、まずシリーズについて書きます。(ちなみに5は未プレイ)
読めばわかると思いますが、僕は1stに思い入れが強すぎて、ちょっともうなんだかなぁって具合になってます。あしからず。

初めに言っておきたいのは、メモオフの主題とはタイトルの示す通り「過去との決別」であるという事。
この主題はシリーズ一貫して貫かれている。
しかしながら、1stとそれ以降ではその性質がかなり異なっている。
少し大げさに言うと、1stの決別とはどうにもならない想いの末の決別であり、それ以降のタイトルではどうにもなる決別なのだ。なのだ。

端的にいって、1stの決別には主人公に利己的な匂いが感じられない。
これはつまりは愛する者(過去)が死んでいるからだ。
愛する者の死こそが、爽やかな悲哀を醸し出す為の緩衝材であった。

1st主人公の智也は、愛する人を失ってしまった事でひどく心を傷つけている。
トラウマになっていると言ってもいいだろう。
智也は心を閉ざしてしまっている。(あの異様なハイテンションぶりは僕にはとても悲しかった。それは1stの記事で触れる)
しかもその失うきっかけになった事故は、智也が彩花を呼び出すというのが直接的な原因になっており、言うなれば智也が最愛の人を死なせてしまったようなものなのだ。
言ってみれば智也も被害者であり、そこには多分に同情の余地がある。
だからこそ、それでもなんとか乗り越えようと、失ってしまった愛する人を悲しませない為にも進もうと、いや、愛する人に恨まれたって自分の生をいきるしかないんだと、その決心が僕らの胸を打つ。

1stの「かげがえのない想い、見つけた」というキャッチフレーズに全ては表されており、その為すべからく作品の根底には哀愁が漂う。
過去との決別は、言替えれば愛する人との決別なのだから。
この決別の為の決断とは愛する人に見守られながら、という事で、とてもやさしい決断なのだ。なのだ。

では2nd以降はどうか。
僕が違和感を感じているのは2nd以降、なんだか修羅場がメモオフの代名詞みたくなってしまった事である。
1stファンの僕からしてみれば、修羅場こそメモオフに一番ふさわしくない言葉だからである。

何故修羅場が代名詞になってしまったのか。
一言、死人が決別する過去ではなくなったからである。
1stは過去との恋との決別が、現実に存在しないものである為に修羅場にならない作りなのだ。
それどころか、それこそが感傷的にさせる哀愁を醸し出す。
思い出にはかなわんとです。

美少女ゲームの特質上、主人公の方が主体となり決断する別れには、どうしても利己的な匂いがつきまとう。
どうしてもしなければならないならば、相応の理由が必要とされる。
が、2ndなんて新しく好きな人ができたからほたると別れるなんて、あまり同情的にはなれない。(その点「それから」では原点回帰を謳っていただけに彼女から切り出す別れとなっている。利己的な匂いを消した)

過去との別れ、ひいては現恋人との別れに際して、前述の通り、愛する人が死んでいる事が、シンクロを呼ぶ緩衝材となっていたのである。
それを現実に生きている人物に設定したら、そりゃ主人公を取り合う修羅場になるのは必死というものだ。
だから僕には2nd以降「過去との決別」という主題の性質に大きな隔たりが感じられて仕方ない。

作品の根底に流れる空気感とでも言おうか、時間の流れが異なるのである。
1stの空気は過去を内包し、現在はその支配下に置かれている。
過去が洗浄される事で、現在は動き出す。
未来へ流れる。

2nd以降の空気は、現在が過去に蓋をしている。
そしてその釜戸が徐々に口を開き、現在が浸食されていくという重苦しい雰囲気がある。
1stではそれがない。
なぜないのかと言えば、主人公の根本的な主題・過去が、物語の始まる前から立ち向かうべきものとして存在していたからだ。
準備を整える過程を描いたのが1stの物語だ。
既に緩やかな渦中にいたのである。

しかしながら2nd以降はそうではなく、物語の途中で問題(過去)が顕在化してくる。
どわぁっ!と。
急展開。
そしてその為、物語の説得力がどうしても弱ってしまう。(僕的には)
準備をするのは物語後半になってからになるから急ピッチなのだ。
まあ描いた事象の範囲、どこにスポットライトを当てて描いているかという好みの問題ではあるのだが。
何か追われているような、迫られているような感覚に襲われるのは私だけなのだろうか。
圧迫感。
そのサスペンスが魅力ではあるが、やはり1stとは大きく性質が異なる事は否めないと思う。

1stの川の流れは清流がゆるやかに、静かに流れ、やさしく滝壺に落ちていくというもの。
2nd以降の川の流れは、濁流が激しくしぶきを上げながら、叩き付けるように滝壺に落ちていくというもの。
淡い「せつなさ」こそがメモオフの胆だったはずなのに。

2nd以降なら作品の空気感が同じなので、そこからシリーズなっていれば納得なんだけど。とか思ったりしちゃったり。

んでは少しわかりやすく各タイトルの性質をまとめてみたいと思う。
あんま深い事つっこめてないけど気にしない。ないない。
ねむひ。

1st
「過去」という決別すべき対象が愛している人。
永遠に失われてしまった存在、しかも自らが殺めてしまったという罪悪感から主人公は自暴自爆に陥っており、心を閉ざしている。
物語は、主人公がその過去を受け入れ、自らの一部とする事によって、新しく愛を見つけ、前進していくという心の解放の話である。
解放の為には新たな恋という主題は適しており、またこれしかないともいえる。
「死んだ彼女の為にも俺は前に進む!」という決意は主人公の自分勝手な思いにすぎないのだが、そう思うしかない現状は理解でき、だからこそそこに悲しみと勇気を感じる。
主人公に同情できる。

2nd
「過去」という決別すべきものが現恋人。
しかも恋人は主人公にぞっこんLOVE。
物語は主人公が前に進む為に、古い愛と決別し、新しい愛へと進む話。
もしくは愛を再確立する話。
主人公の自己解放の話と言えなくもないが、どうにもヒロインが犠牲にならざる終えない為に利己的でありすっきりしない。
主人公が自己犠牲の精神を持っていないのがそもそもの原因か?
「過去」から「未来」へ、という決意は主人公からしたら切実なのだが、しかもそれが現実の恋というリアリティで推移する為に現実世界の恋と比較して見てしまう事は否めない。
そんなたいした話じゃないじゃん、恋人乗り換えただけじゃん、というのは決して言ってはならない……。
1stはドラマがあり、現実世界と照らし合わせてみても、現実味のある幻想であったのに対し、リアリティが現実に近づきすぎたか?
主人公は捉えようによっては自分本位であり、モテモテなうらやましい奴であり、ただただうらやましい。
同情? いいえ羨望。
が、しかし、あの立場は僕には恐ろしいぞ……。

想い出に変わる君
ほとんどおぼえていないから何とも言えないが、「過去」という決別すべきものが昔の恋人。
物語は……よくわかりゃない。
そも主人公に主体性が乏しい為(ちがうっけ?)にただ主人公がヒロインに振り回されるだけの話になってしまっていた気が……。
ていうか主人公に物語を動かす為の動機がない。
動機がないのが動機なのか? 異色ではある。
主人公がお子様というか甘えてる気が。
親のすねかじって、通える距離なのにあんなマンション借りやがって……。(あ、もしかしたらこれが移入できないそもそもの大きな原因かも?いや、真面目に)
主人公はキャンパスライフを謳歌する羨ましいやつであり、懊悩してたかおぼえてないが、あの悩みこそが青春ともいえるのではないか。
その意味では青春をまっとうに描いている。
とにかく制作者の心意気は買うが、前衛的過ぎた。
メモオフでこれやる意味があったのだろうか。
美少女ゲームユーザーに水と油な作品。
しかもコンシューマやで。
18禁ゲームで出すならわかるが。
つまりは対象年齢が高すぎる。
現実に即したそれなりの夢を描いたという点で、もしかしたらこの作品は対象ユーザー層を20才以上、一般人向けにすれば評価されるのかもしれない。
おたくという子供の幻想的ロマンチストユーザー層に、大人のリアリズム幻想を持ち込んでも評価されるのはちと難しい。
なんか少しいじれば青年漫画雑誌に連載してても違和感なさそうな気が。
そんな人達には1stは甘過ぎるからね。
対照的だわな。
まあとにかくギザうらやましす。
同情? まっさかー。

それから
「過去」という決別すべきものが現恋人。
しかし2ndと違い、主人公は別れを告げられる方。
物語は主人公が「過去」というものから歩き出す為に新しい「未来」という恋人に向かう話。
あ、今思い出した。
なんか幼少期の事件が根底にあるんだ。
という事はそれが「過去」ともいえる。
別れを告げられるという事で、主人公の利己的な主体性は回避された。
かに思えたがどう考えてもヒロインが未練を持っており、なにやらのっぴきならない事情があるようで、それに気付よ主人公というツッコミがまず入る。
二人の縁は宙ぶらりんなのだ。
そしてその為に物語中盤で旧恋人と恋人候補との修羅場に発展してしまう。
やめてー!見てられないよー!
どっきりカメラすらまともに見れない僕からすると、自分の分身である主人公が原因で修羅場になるなんて耐えられない。
つまり、自分のせいで他人を傷つけたくない。
主人公はどうだったっけ……。
もっとはっきりしてよって感じだったかな。
だめだ、思い出せない……。
雰囲気は好きだった。

わかったぞ。
ごちゃごちゃ言ってきたけど、どうやら僕は自分のせいで他人が傷つくのを怖れるので2nd以降の決別に移入できないんだ。
ああ、なるのほど。

メモオフの特質上、主人公が前進する為には誰かを傷つけなきゃならないんだけど、1stではそれが死んだ彩花だから傷つきようがないものね。2nd以降と違ってさ。
逆にそれが感動を呼ぶ仕掛けになってるし。
ってこれさっき言ったか。
あらすじを聞いて、たぶん好きだろうとプレイしてみた君が望む永遠も、もう一歩ってなかんじだったもんなぁ。

ちなみに1stをマゾ的な欲望を満たしてくれる物語とすると、2nd以降サド的な欲望を満たしてくれる物語です。
修羅場になるなんてMじゃないの?とお思いなられるかもしれませんが、実の所ユーザーはそれを望んでいるわけです。
喜んでるんだからS。
それを軸に据える2nd以降が好きな方は潜在的にSっ気があるのです。
さすがに安易か。
まあ別に真面目に言ってるわけじゃないしね。
ふふふのふ。

こんなもんかな。
では語らせて頂きます。
1st。